禁煙外来

タバコをやめられない最大の理由は、ニコチン依存症という「病気」になっているからです。自力で我慢するのではなく、薬と医療者のサポートを使うことで、禁煙の成功率は大きく上がります。

当院では、飲み薬(バレニクリン)と貼り薬(ニコチンパッチ)のどちらの治療にも対応しています。さらに、スマートフォンを使う治療用アプリ(CureApp SC)を組み合わせた治療も選べます。

30秒でわかる当院の禁煙外来

治療期間12週間(通院は計5回)
保険適用条件を満たせば健康保険で受けられます
自己負担の目安3割負担で約1.2万〜2万円(お薬の種類で変わります)
お薬飲み薬・貼り薬から選べます
プラスα治療用アプリを併用する方法もあります

目次


禁煙が必要な医学的理由

喫煙は、日本で年間およそ12〜13万人の死亡に関わる危険因子とされ、予防できる最大の健康リスクの一つです。

タバコが関わる主な病気

  • がん: 肺がんをはじめ、口腔・咽頭・食道・胃・膵臓・膀胱など多くのがん
  • 心臓・血管の病気: 心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症
  • 呼吸器の病気: COPD(慢性閉塞性肺疾患)、喘息の悪化、肺炎にかかりやすくなる
  • その他: 糖尿病の発症・悪化、歯周病、骨粗しょう症、勃起障害、肌の老化
  • 妊娠・出産: 早産・低出生体重児・流産のリスク上昇
  • 周りの人への影響: 受動喫煙により、家族(特にお子さん)の喘息・中耳炎・乳幼児突然死のリスクが上がります

やめた瞬間から、体は回復し始めます(目安)

20分〜血圧・脈拍が落ち着き始める
24時間血液中のニコチン濃度が0になる
数日血液中の一酸化炭素濃度が正常化
数週間〜3か月血液の流れや肺の働きが改善
1〜12カ月咳や息切れが改善
3年心筋梗塞のリスクが喫煙時の約半分に
10年肺がんで亡くなるリスクが喫煙時の約半分に

「もう遅いのでは」と思う方にも、何歳からでも禁煙の効果はあります。


保険が使える方の条件

次の4つすべてに当てはまる方は、健康保険で禁煙治療を受けられます。

  1. ただちに禁煙しようと考えている
  2. ニコチン依存症のテスト(TDS)で5点以上(初診時に10項目の質問票で確認します)
  3. ブリンクマン指数が200以上(1日の喫煙本数 × 喫煙年数)。35歳未満の方は不要です
  4. 禁煙治療を受けることについて、文書で同意している

計算例: 1日20本を10年間吸っている → 20 × 10 = 200(条件を満たします)
紙巻きタバコだけでなく、加熱式タバコを吸っている方も対象です。

ご注意

  • 保険での禁煙治療は、前回の初回診察日から1年以上あけての再挑戦となります。
  • 条件を満たさない場合は自費診療になります。まずは診察でご相談ください。

治療の流れ(12週間・計5回)

回時期内容
1回目初診問診・TDS・呼気CO濃度測定 → 保険適用の確認 → お薬の選択 → 禁煙開始日を一緒に決めます
2回目2週後禁煙状況の確認、呼気CO測定、お薬の調整、つらい時の対処法
3回目4週後離脱症状・再喫煙の危険場面の確認
4回目8週後禁煙の定着を確認、お薬の減量(貼り薬の場合)
5回目12週後最終確認、卒煙後の再喫煙予防のアドバイス
  • 毎回、息の一酸化炭素(CO)濃度を測ります。禁煙の成果が数字で見えるので、続ける励みになります。
  • 2〜4回目はオンライン診療も選べます(初回と最終回は来院)
  • 予約日に来られない場合は、遠慮なくご連絡ください。日程の調整ができます。

初診のときにお持ちいただくもの: 保険証(マイナ保険証)、お薬手帳、現在の喫煙本数・喫煙年数がわかるとスムーズです


お薬の選び方

バレニクリン(飲み薬)ニコチンパッチ(貼り薬)
ニコチン含みません少量を皮膚から補います
はたらき脳に作用して、吸ってもおいしくなくなり、離脱症状もやわらぎますニコチン切れのイライラ・集中困難をやわらげます
使い方1日2回・食後。飲み始めて1週間後に禁煙開始1日1枚貼る。禁煙開始日から使用
期間12週間8週間(徐々に減らします)
主な副作用吐き気、頭痛、眠気・不眠、異常な夢貼った部分のかゆみ・かぶれ、寝つきの変化
費用の目安(3割)約20,000円約13,000円
  • バレニクリンは、飲み始めは食後にコップ1杯の水で飲むと吐き気が出にくくなります。眠気やめまいが出ることがあるため、運転など危険業務に従事される方は原則使用できません。
  • 妊娠中・授乳中の方、心臓病・腎臓病・精神疾患のある方などは、お薬の選び方に注意が必要です。診察で必ずお伝えください。
  • どちらが合うか迷ったら、初診で一緒に決めましょう。

費用の目安(健康保険・3割負担)

12週間・5回の通院を通じた自己負担の合計の目安です。

お薬自己負担の目安(合計)
バレニクリン約20,000円
ニコチンパッチ約13,000円

※ 診察料・ニコチン依存症管理料・お薬代を含む概算です。他の病気の診察を同時に受ける場合などは金額が変わることがあります。

タバコ代と比べてみましょう

1日1箱(600円)なら、12週間(84日)で約50,000円。治療費のほうが、タバコ代より安くなります。しかも治療が終われば、その先もタバコ代はかかりません。


続けるためのサポート

禁煙外来では、最後まで通い切った方ほど成功率が高いことがわかっています。当院では途中で挫折しないよう、次のようにサポートします。

  • 【毎回の呼気CO測定で、変化を「見える化」します】
  • 【予約の変更・お休みの連絡は、Webでも受け付けます】
  • 【つらい時期の乗り切り方(食後・飲酒時・ストレス時)を、具体的にご提案します】
  • 途中で1本吸ってしまっても、そこで終わりではありません。 正直にお話しください。一緒に立て直します。

よくあるご質問

Q. 過去に禁煙に失敗しています。それでも大丈夫ですか?

A. 大丈夫です。多くの方が何度か挑戦して成功しています。失敗の原因を一緒に振り返り、今回に活かします。保険診療としての禁煙外来は前回実施時から1年間経過していないとできませんので、ご注意ください。

Q. 仕事が忙しくて通えるか不安です。

A. 当院は朝8時半から診療しており、出勤前に受診が可能です。また、2−4回目の通院はオンライン診療にも対応しており、お昼休みや平日夕方などお仕事の合間に受診できるように配慮しています。

Q. 治療中に1本吸ってしまいました。

A. すぐに中止せず、次回の診察で正直にお伝えください。パッチ使用中の喫煙は、ニコチンの摂りすぎにつながるので、その場合は必ずご相談ください。

Q. 電子タバコ・加熱式タバコでも受けられますか?

A. はい。加熱式タバコも保険の対象です。

Q. 副作用が心配です。

A. 多くは軽いもので、お薬の量の調整で対応できます。気になる症状があれば、次の診察を待たずにご連絡ください。

Q. 体重が増えませんか?

A. 禁煙後は食欲が増して体重が増えることがあります。食事や運動のアドバイスもいたします。


治療用アプリ(CureApp SC)を使った禁煙治療

スマートフォンのアプリと呼気COチェッカーを組み合わせる、医師が処方する「治療用アプリ」を使った禁煙治療です。通院のあいだの「ひとりで頑張る時間」を、アプリがサポートします。アプリは、飲み薬(バレニクリン)との併用が必要です。

ただし、現在保険診療適応になるのは呼気一酸化炭素濃度が上昇している方(10ppm以上)に限られています。(紙タバコ、加熱式タバコは問いません)

アプリ治療の流れ(通院スケジュールは通常の12週・5回と同じです)

① 初診保険適用の確認 → アプリとCOチェッカーの導入・使い方の説明
② 毎日COチェッカーで息を測り、アプリに記録。アプリから、状態に合わせたアドバイスや動画が届きます
③ 通院日あなたの記録を医師が確認しながら診察。つまずいた場面を具体的に振り返れます
④ 最終回12週間の成果を確認し、再喫煙を防ぐポイントを共有します

費用の目安(3割負担)

通常の禁煙治療の費用(バレニクリンで約20,000円)に、アプリ・COチェッカー分として約7,600円が加わります。合計は約2万8千円前後が目安です。

ご利用に必要なもの

  • Bluetoothが使えるスマートフォン(iOS・Androidの対応バージョンあり)
  • メールアドレス(アプリの登録用)
  • ※パソコン・タブレットでは使えません

禁煙は「思い立った今日」がいちばん成功しやすいタイミングです。まずは一度、お話を聞かせてください。

この記事の監修者

万願寺ファミリークリニック 院長
濵田 春樹

日本プライマリ・ケア連合学会 認定家庭医療専門医・指導医
日本専門医機構認定 総合診療専門医・指導医
日本在宅医療連合学会在宅医療認定専門医

筑波大学卒業。各種研修を経て、2026年8月に万願寺ファミリークリニックを開院。

院長プロフィールはこちら

参考文献
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